1号機の改修(その2)
前回に続き1号機の改修。
今回はやや面倒な部位に手を入れたの巻です。
・自分じゃ出来ない
VPという台湾のパーツメーカーがある。
恐らくOEMや量販車のペダルとかを作っていて、謂わば業界の縁の下役、といったら語弊があるか…
購入したケルビムのMTツーリングは、同店には珍しい吊るしフレームでしたが、展示の関係からかヘッドパーツ(ヘッドセットと言う場合も)に、このVP社のアヘッド用シールドベアリングが付けられていた。
*当初のVPのアヘッドセット
もちろん当初は何の過不足もなかったが、走行距離が少なれど齢13年ともなれば、締め方を調整しても何だか上手く納まらない。
弄りが面白くなっていた(昨年5月頃)ことからか、今まで気にならなかったココが気になりだしたので、交換を目論むわけです。
そうは言ったものの専用工具は持っていないし、しっかりした工具を買えば数万円はかかるので、お店に出すことにしました。
で、例のブルーラグ上馬店。
*交換後上側
交換に時間がかかると思われたので、都合を付けて平日に持ち込んだら、すぐできますとのこと。
ところが、MTツーリングのヘッドチューブのサイズはSTD(φ25.4)で、しかも希少なJISサイズ!
STDの場合、大多数がイタリアンサイズで微妙にJISサイズとは内径が違う。
なので、MTツーリングに合うJISサイズが店頭では見つからない有様。
密かにクリスキングとかケーンクリークとか有名どころを試せるかと思っていたのにガッカリ。
それでも外しちゃったんで何か合う物を探さないといけない…
お店の方が探してくれた唯一の選択肢は、タンゲ精機のヘッドパーツであるテクノグライド。
何だか地味な感じもしますが、調べれば逆に海外では有名なブランドらしい。
その中でもDLというカートリッジベアリングではない、普通の玉押し・ワンのタイプを選択しました。
ワンが7000番台アルミ、下玉押しがクロモリ、ボールがSUS?で耐久性と高級な感じ?なんで選びました。
工賃込みで8Kとやや高価ですが、有名どころから見れば相当リーズナブル。
*テクノグライドDLのボールベアリングとボールリテーナー(今や珍しい)
メンテナンスフリーではないが、いじれるし屋内保管だからまぁいいかー
結局、部品調達に時間がかかり1週間は上馬にお預けでした。
が、子供の頃一時近所の弦巻に住んでいた事もあり、何だか不思議な因縁を感じたのは明らかに気のせいです…(^^ゞ
*同下側
交換後は、前がしっかりした感じになった。
という、ごく普通の感想ですが、この普通が大事なんですよね。
交換前は、調整しても何だか微妙にクニュッて動くような変な感じがあったが、アフターではそういった感じもない。
調整も比較的楽だし、乗っていてもいろんな場面で操縦が楽です。
*なんか良いぞー
・それっぽくなってきた
上の写真にも写ってますが、長年迷っていたフロントキャリアを思い切って調達。
何か明確な用途がある訳ではないけど、ランドナーの標準装備的なブツなんで気になっていた…を試したかった、ということです。
*この位の重量増ならば…日東M-12
鉄ですがパイプ(φ7)のためか、思っていたほど重くない。
残念だったのは、日東製なのにダルメッキではなくクロムメッキであったこと…
*ステーにダボがあるのでランプステー(日東製)が付けられる
ランプがハンドル上から移設できたことも大きな効果で、スッキリとまでは行かないが色々と整理しやすくなった。
*良い眺めです
CPメッキですが、相当しっかりしている感じ。
雨天走行後などに、ワックスで磨けば錆びにはお目にかかることもないと思う。
*ランドナーっぽくなってきたぞー
この大きさであれば輪行でも、外すこと無く行けます。
・17年未開封
交換ばかりでは、財政出動が多くてたまりません。
なので、メンテで済ませる部分もあったりします。
*9SのXTR CS-M953
リアのカセットは、10数年前の9速全盛期のXTR。
12T~34Tの足弱セットですが、約半分はチタン合金だったりします (^^ゞ
外して清掃するのは初めてかも…
*ここもグリスアップ FH-M950
で、リアーハブ内部を確認がてらに外してみますが、ここも初めてのご開帳。
*XTRの玉押しとシール
玉当たり面が実にキレイ。
年数の割に距離がそれほどでもないからか、驚いたことに軸内部に残っていたグリスはデュラグリスの透明な黄緑色のまま。
MTB用のハブ故に、シールがしっかりしていることも関係していると思われますが、とても17年以上とは思えない状況でした。
デュラグリスを補填してもとに戻します。
*フリーの反対側も同様にグリスアップ
玉辺りの調整は面倒な反面、上手くいくと楽しいもんです。
*フリーの反対側には上のようなアルミカラーが…
このアルミカラー側にはプラのダストカバーが付いて一次防塵の役割。
更に玉押し側にはシールがあり防水+防塵機能を担う。
*納まりました
このメンテで、従前よりも回転が良くなった気がする…気のせい?
・大物
さて、ここ数年の懸案であった左クランクのコクコク微動する、いやーな動き。
既存のクランクはケルビムフレームと一緒に導入したもので、デザインが素敵なFSAゴッサマー。
アメリカンとしては珍しくシマノのオクタリンク規格で比較的軽量。
それが、50Km走るとコクコク。
ボルトを締めては元に戻るものの、また50Km走るとコクコク。
その繰り返しで10数年。
締め直しではもうだめ、と諦めて交換です。
*シマノのクランク、ホローテックⅡとボトムブラケット(BB)
最近のスポーツ車で一般化しているホローテックⅡクランク。
右クランクとBB軸を一体化(嵌合)することで、剛性と軽量化を両立できる構造。
各社軸一体の似たような構造・規格が乱立してるみたいですが、ホローテックが元祖なのか?
チェンリングはダブルで歯数が少ないことと、色はジルバーが良かったんで、ここもクロスカントリー用のFC-CX50を選択。(105は軽いけど黒しかない…)
歯数が46T-36Tなので、リアーの12T-34Tと併せて足弱な自分向きのギア比殆ど1.0が実現。
因みに購入したFC-CX50は中級機以下なので、本来中空断面クランクのホローテックが中空じゃなく片面肉抜き廉価版でしたが、まあいいか (>_<)
*BBは恐れ多くもデュラエースBB-R9100(緑色はデュラグリス塗布済み)
デュラエースはシマノ・ロードコンポーネントのトップグレード。
私ごときが使うグレードでは無いんですが、なんと3Kで手に入ってします。
グレードによる差別化が無意味なくらいに価格差が少ないんで、安全パイ?ということでコレにしました。
野口さん3枚で買えてしまう幸せ(なのか?)。
*真ん中ボディはプラ!
70g弱の軽さ。
さすがに両端のボールベアリングが仕込まれている部分はアルミハウジング。
因みに、ベアリング部は基本メンテ等ができない構造なので、故障すれば交換になる。
低価格なのも頷けます。
*FC-CX50はグレード的には中級なのかな
CX50は内部が中空ではないので、FSAゴッサマーと比べれば100g以上重い。
BBとセットでもトータルで、やや重量増…まーしょうがないか。
さて、さらばゴッサマー君です。
*こんな面構えの素敵なヤツでした…
デザインは5アームでスレンダー。
流麗なクランクの思い出に浸っていてもしょうが無いんで、分解々…
*真ん中のフィキシングボルトのキャップを外す
キャップはシマノの工具で外れます。
*専用工具を使いクランクを外します
外したキャップ穴に専用工具を取付け締め付けていくと、クランクが抜ける。
*強く光る面が削れ具合のひどさを物語る
左側クランクのオクタリンク側内面がご覧の通りに削れている。
何度か取り外し~取付けの繰り返しでしたが、一度削れたものは元に戻る訳も無い。
*また専用工具の出番
左右クランクが外れれば、残るBBを抜きます。
*おー錆がすごいぞ
BBシェルが錆びているのは予想していたが、ここまでとは…
*オクタリンク用の工具達(TL-FC20・UN74・UN96・FC15・FC10)
これら工具もオクタリンクを取付ける際に揃えたもの。
個々はたいした値段では無かったと思うが、もう使うことも無いか…
*当然、中も錆々
BBが納まるフレーム内もこんな有様なんで清掃~
*お疲れさん
外したBB-6500(アルテグラ)は錆を落とせばキレイなもん。
ガタ等無く、まだま行けますがオクタリンクという規格が殆ど絶滅。
廉価機と何故かトラック用のデュラエースの一部に残るのみとなっている。
*ここがミソ
コレを買ったときには、スクエアテーパーのコッタレスが古くさく見えたんですが、今やコレが古く見える。
ちゃんとした状態で使ってあげられなくてゴメン。
*フェイスカットでは無いけれど、良い感じです
BBの収まるフレーム端部に残っていた塗装を落とす位は大丈夫かな…
ここに塗装が盛ってあるとBBを取付けた際に塗装の微妙な膨らみで、締めていっても多少落ち着きがない。
フェィスカット工具も無いんで今まで触らないでいましたが、思い切って手を出すことにしました。
平たい金ヤスリを軽く当ててみたところ、案外上手く載っていた塗装のみを落とす事ができ、何と無くですが平坦な感じがでました。
もちろん失敗覚悟の上の乱暴な施工だけど、そもそもフレームのBB端は平面が出ているハズなんで、ヤスリを当てすぎない…金属は削らなかったのが良かったのか?
*試しに旧BBを付けてみる
こんなことなら早く試せば良かった。
オクタリンク用BBも可哀想なんで、チョット戻してみる。
*良い感じじゃないですか
施工前より相当ピタッと収まっている。
*新旧揃い踏み?
この段階で既にクランクアームの剛性感が違う?
重さの違い(約100g)かも…
*TL-FC32の出番
BBに付属していたアダプタカラーを咬まし新BBのベアリングカップを締めます。
アダプタカラーがプラ製であることから、強く締め付け箇所じゃない事が判ります。
*ベアリングカップまるごと外に飛び出ている
径が若干フレームより小さいので段差が出来るが、気になる程ではない。
*BBシェル幅が30mmくらい広がった
ここが広がることで踏みごたえ感、剛性感が向上するので回しやすくなるハズ。
*右クランク(+BB軸)を装着
これは本当にスルッとはめる感じで入る。
*左クランクはBB軸のセレーションに合わせる
ボルト2本で割が入っている部分を締める。
単に締めれば良いだけでは無く、BB軸への左クランクの入り(当たり)具合がホローテック2の勘所だったりします。
*軸端に肝心のプラキャップ
このプラキャップを締める工具が無いことに、この段階で気が付く…
たかがプラキャップ=蓋なんで、適当に回せば良いのかと軽く考えていたが、実はここがBBとクランクの位置をコントロールする機能部品だったりする。
*BBのベアリングシェルとクランクとの隙間は…
実際、BBとクランクは殆ど密着しているように見える。
コッタレスやオクタリンクなどのクランクでは考えられない形。
ここが適正でないとコツコツと異音が発生する。
試走してから、重要性に気がついた次第。 (^^ゞ
*TL-FC16…プラの手回しノブ?
で、急遽チャリ仲間のY氏に手回しノブ…TL-FC16借りてきて事なきを得る。
しっかりと手で締めることが適正。
手トルクは限界があるで、これが丁度良いみたい。
BBのシール部とクランク端が適切に接していれば良いということなんでしょう。
(ほんとうに接触しているかは、外してみないと判りませんが…)
*完成~
ブラックのゴッサマーから、グレーのCX50ですが、雰囲気的には納ったんじゃないでしょうか。
*もう少しで最終形態
今回の改修(記事)は、昨年7月頃の話だったと思います。
夏の
奈良の小旅行
は、ほぼこの形態でした。
あとはサドル交換とリアーキャリア(小)の追加で〆になります (^^ゞ
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